きみどり

ベイビー・ブローカーのきみどりのレビュー・感想・評価

ベイビー・ブローカー(2022年製作の映画)
-
『万引き家族』に対するネトウヨの皆さまからの評価が「日本の恥を晒すな」だったのは記憶に新しいのですが。次作の『真実』で樹木希林とその家族をベースにしたと思しき物語をフランス映画のテイで作ったのを見て、「あ、上手い逃げ道見つけたな」って思いました。

樹木希林が亡くなった後、彼女の「生き様」「哲学」を布教するビジネスが大繁盛。娘の文化人枠進出も、批判を許さない雰囲気も、たいそう薄気味悪かったです。
そんな中で、『真実』を日本映画でやったらまた石が飛んでくるから、外国映画にしちゃったんだろうなーと、超勝手に解釈しとります。

…その前提でいくと本作も日本の赤ちゃんポストの話をそのままやるのを避けたかったんじゃないかと。

映画界の性暴力反対を表明したことでおそらく一部界隈のご機嫌も損ねてるだろうし。韓国映画界の労働条件が日本のそれより格段に良いと言ってるから、是枝監督はこの先いらん面倒を避けるために外国映画というトンネルを使うようになるんだろうなぁ賢いなぁ、と妄想したのでした。

ソヨン役の女優が松岡茉優に空目しそうなくらい似てたのを筆頭に、風吹ジュンに声そっくりな人やリリーフランキーみ溢れる人もいて、この監督はつくづく好みのタイプがはっきりしてますね。

部屋の散らかり具合とか、ソン・ガンホが繕いものをするシーンとか、相変わらずディティールの描写は繊細で良かったです。
あの刑事さんたちの車内、ぜっっったいに臭いと思う…。

ちなみに『万引き家族』で樹木希林が縫い物をする大好きな場面があるんですけど、あれって是枝監督の原風景の一つなのかな。
きみどり

きみどり