ベイビー・ブローカーのマリンのネタバレレビュー・内容・結末

韓国映画は油断していると驚くような残忍なシーンに遭遇する事があるのでいつも少し緊張します。本作は人身売買というテーマが大筋にあるのでそのへんドキドキしながら観ました。冒頭のソヨン(IU)が土砂降りの雨の中を歩いてくるシーンでは、流れる大量の雨が映画「パラサイト　半地下の家族」を連想させました。ずぶ濡れになって坂の下から黙々と歩いてくるシーンは、台詞がなくてもソヨンの背景にある苦境を感じさせ、物語に入り込むのにとても効果的な演出。子供を育てられない親が匿名で子供を預けて行く「ベイビーボックス」をソヨンが利用したのがきっかけで、ベイビーブローカーのサンヒョン（ソン・ガンホ）とドンス（カン・ドンウォン）に出会い、養父母探しの旅が始まります。
ベイビーブローカーの売買の現場を取り押さえようとサンヒョン一行を付け回すのはスジン刑事（ぺ・ドゥナ）と後輩のイ刑事（イ・ジュヨン）。
このスジン刑事が訳有りっぽいんだけど、何だかはっきりしなくてモヤモヤ。
子供を捨てる無責任なソヨンを責めるスジン刑事ですが、ソヨンの「堕ろせば良かったのか！？産んで捨てるのより産まずに殺す方がいいのか？！」という感じの言い合いがあり言葉に詰まります。(あ〜ハッキリと台詞が思い出せないのが残念。もう一度観たい)
何が正義か、何が正解か、旅の中で考え続け、行き着く先は結局ソヨンが母親としての気持ちを貫き通したという事でしょうか。この映画の男達は皆んな優しすぎ、是枝監督のロマンかな。

映画を観終わってみると、細かな点で疑問の残る点はありましたがストレートな”命への感謝”が伝わってくる温かい映画でした。「生まれてきてくれてありがとう」韓国ではよく聞く台詞ですが、日本では照れるのかなあんまり聞かない気がしますね。