ひろゆき

MOTHERSのひろゆきのレビュー・感想・評価

MOTHERS(2020年製作の映画)
3.9
銀幕短評(#551)

「MOTHERS」
2020年、日本。1時間 3分。

総合評価 77点。

日本映画大学に通う 関(せき)麻衣子さんが製作監督した、彼女の一家のはなし。産みの母、育ての母、いまの母、のものがたり。姉妹のものがたり。そして父のものがたり。

馬車道通り、ということは、舞台は横浜ですね。このドキュメンタリ映画には大きな脚色がないと信じましょう(じっさい、わたしにはそう見えます)。ヤクザの父(関卓司)に、母親の女三人が、そしてその娘ふたり(桃子さんと麻衣子さん)が 翻弄(ほんろう)される。これは当事者たちにとっては、人生の厄災というほかはありませんね。それを映画に起こした麻衣子さんの勇気に、大きく加点します。

お姉さん(桃子さん)の涙ながらの訴えは、みなの こころを打ちます。胸にせまる あのことばを聞くために、わたしは この映画を観るのに 2時間でも 3時間でもかける かいがあると、芯から思います。あれはみじかいけれど、とても重い発言です。ひとりの女性の一生が 詰まっている。もし仮に映画を勉強していても、桃子さんには この映画はけっして撮れないのだとわかる。

家族にはそれぞれの歴史があると「ネブラスカ」で書きました。ヤクザに対する 憤怒(ふんぬ)は、「ヤクザと家族」(#535、34点)の回で書きました。この映画のヤクザ(父 卓司)に対しても同様の感情をもちます。

「ヤクザは税金を払わない」と うそぶいていますが、一回きりのじぶんの人生をフイにしてしまった(しつづけている)かれの生き方が(家族をまだ いためつづけている彼の生き方が)、税金の数百倍の重荷を かれ自身に(さらには家族に)課していることに、当人は気づいていない。あるいは気づかないふりをしている。真(まこと)に おろかな所業(しょぎょう)です。桃子さんのたましいの訴えの映像を、はたしてかれは いつか見るのでしょうか。そのとき かれは正視できるでしょうか。


丸山珈琲のコーヒー、おいしいですよね、チェーンにしては。BLUE BOOKS café、どこにあるのかなあ、おいしそうだなあ。
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