マテ

シングルマンのマテのレビュー・感想・評価

シングルマン(2009年製作の映画)
4.2
そこかしこにある忘れがたき記憶。寄せては返す波のように、愛おしさと切なさが押し寄せて何度も何度も泣きそうになった。音楽や色遣いも素晴らしい。人生最後と決めた日に、さまざまな人や物に心の中でお別れを言いながら過ごす。どんな出来事も心のうわべをなぞっていくだけで、決して琴線には触れてくれない。そんな物悲しさがたまらなく切なく、しかしそれを噛み締めるジョージが美しい。ポッターくんがいてくれてよかった、彼だけはうわべではなかったから。
ただ唯一、彼を救おうとしてくれたポッターくんが目覚めてそれを目にした時どう思うかを考えて、生きている者に救いなんて何もないような気になってしまった。それだけがとても悲しい。どうか自分が先生を救ったことを知ってほしい。とても好きな作品だった。
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