セドリック・クラピッシュ監督らしい、軽妙でテーマも今どきなラブストーリーで、凄く私の好みの作品でした。
都会での一人暮らしは、気楽で充実している面もありながら、やはり自分でも気付かぬうちに些細なストレスや不安や孤独が積もり積もって、いつの間にか心や身体に影響してくるもの…。
傍目には元気そうに見えて、自分でも大丈夫と思っていても、何だか気持ちが晴れなかったり、体調がすぐれなかったりする、そういう経験が自分にもあるので、メラニーとレミーの状況には物凄く共感を覚えながら観れた。
とは言え、そんな曖昧で漠然としたような症状からどう脱却したら良いのか、いったい何が有効なのか、その解決策を見つけるのはなかなかに難しいこと。
メラニーとレミーはそれぞれにそんな自分の心身の変化を自覚してセラピーに通い始めるが、そこから少しずつ自身の心の根底にある問題に気付いたり、前向きに人と繋がろうと努力をすることで、しだいに心が安定していく様がとても興味深かった。
お互いに孤独な者同士のメラニーとレミーはすぐ近くに住みながらも何かきっかけがなければ出逢うことはないけれど、そんな二人がどう出逢うのか、その過程での猫や食料品店でのエピソードが最後に全て上手く繋がるストーリー展開がとても良かった。
二人の未来が予感出来るラストには、私もとても幸せな気持ちになれた。
人生に大切なのは愛、パートナー、そしてダンス。というところが、アムールの国フランスらしい作品でした。