ワイカ

キャッシュトラックのワイカのネタバレレビュー・内容・結末

キャッシュトラック(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

 久々に観ましたこんなにハードボイルドな映画。いつものガイ・リッチーとは一味違うシリアスさ。彼特有のユーモアや洒落た感じは一欠片もなく、骨太でひたすらゴリゴリのクライムアクションでございます。とはいえ完成度はとっても高いです。

 犯罪組織のボスが、息子を殺した別の組織に復讐を果たすお話。って書くとなんだか安っぽいけど、復讐の手法や撮り方がうまくてかなり楽しめました。

 まず冒頭の現金輸送車が襲われるシーンで映画心を鷲づかみ。襲われる光景を車内から定点的に撮る手法がうまく、こりゃただごとじゃないという気にさせられます。

 その後はジェイソン・ステイサムが謎の人物として描かれて、しばらくはなんとなく静かな(とはいえそこそこアクションはあり)展開が続くけど、中盤に冒頭のシーンの背景を解き明かす辺りからキター!って感じでどんどん引き込まれます。ステイサムの目的もわかってなるほどという感じ。後半の銃撃戦はかなりの迫力で完全に没入です。最後もしっかり重たく締めてくれます。

 ステイサムの無双ものは多いけど、これはいつもとは違う感じ。一時期同じような作風の作品ばかりに出てて、スティーヴン・セガールみたいになったら残念と思ってたけど、その辺は脱することができそうな感じです。いつものように英国ファッションなのも個人的に好感でした。

 ガイ・リッチーっぽいのは時間軸が行ったり来たりするとこと、撮り方の角度がうまいとこくらいか。終始ひたすら重たい曲がかかり、ハードな雰囲気です。

 チャラい役が多いクリント・イーストウッドの息子がいつもよりわるーい感じだけど、やっぱり軽薄な役です。この人は親父さんを超えられる日が来るでしょうか。ジョシュ・ハートネットは久々に見ました。この人かつて飛ぶ鳥を落とす勢いだったのにある時からパタっと見なくなった印象。いったい何があったのでしょう。

 何はともあれクライムアクションものとしてはなかなかの秀作でした。元ネタはフランス映画だそうで、なるほどという感じ。いわゆる勧善懲悪ものではないので、そこだけ留意して観た方が良さそうです。
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