ゆ

シカゴ7裁判のゆのネタバレレビュー・内容・結末

シカゴ7裁判(2020年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

おもしろかった!
話は結構難しくて、要所要所登場人物の立場とか整理しながら観ないといけないので、楽に観れる感じの話ではないのですが…
トムがアビーに向かって言った「有名になりたいだけかと思った」というセリフに、アビーが「お前は親世代に反抗したいだけだろ」と返すシーンがある。う〜んなるほど、とうなってしまった。この時代は黒人人権運動とか、反戦運動とか、資本主義思想の限界だったり、まぁそれはそれは様々な思想にアンチテーゼが生まれた時代だと私は思っている。それを支持していた若者の中で、動機がとにかく「旧時代のものをぶっこわす!」であった人も少なくないと私は思っていて…(だからこそサブカルチャーがこの時代に大きくなったと思ってる)
デモ参加者の若者が高尚な動機だけを持っていた訳ではないこと、だからこそここまで騒ぎが大きくなったという、その不安定さを2人の社会的背景の違いを通して鮮やかに表現したシーンだなと思った。
あと、ずっと観ているときに私が「これ検察側の意見を支持してる人っておるんか?」って思っちゃってたの、結構怖くて。例えば、黒人差別的な発言は良くないってのも、今の価値観での答えな訳で。私は2023年の今、話を観ているので、歴史の辿った行く末を知っているし、史実としての正解を知っているけど、当時の彼らはそんなこと当然知らない。起こったことの是非を争っているだけ。だから、正義が何かとか、正しい行いはどっちかとか、自然と決めつけてしまっていて、自分で考えてないよな〜って思っちゃった。
もちろん、年代差を考えると、現代では至極当然になっている善なので仕方ないんだけど、もし今「正義」が問われている問題だったとしたら、私はどっちが正しいかって自分の頭で考えられてるのかな?って、背筋伸びた。この映画の7人は、結果として現在では「正義を貫き主張した」存在になっているけど、それはこの考えが今に根付いているからであって(もちろんこういう人達が闘ってきた積み重ねであるということは承知の上で)、おそらく大切なのは、未来のある時点で善か悪かは置いといて、自分の頭で考え、主張するというその行為自体なんじゃないかなと。そして、その自由が保障されていること。彼らの場合は、これがなかった。それは良くないよね。
う〜ん、ザーッと感想書いたけど、まだ頭がこんがらがっている。とりあえず40過ぎても学生姿がフレッシュ、エディかっこいい!(浅はかな締め)
ゆ