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シャドウ・イン・クラウドの2秒前のレビュー・感想・評価

シャドウ・イン・クラウド(2020年製作の映画)
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C・モレッツが戦闘機に乗り込むまで5分も無いんじゃないか?不穏な気配の醸成は滑走路の霧と消失する誘導院だけで十分だと言わんばかり。精神的なwidowとなった彼女の悲嘆を表すにも、慟哭を捉えた引きのショットたった一つで良いとする。だがそれは圧倒的に正しい。

低予算ゆえか前半は密室に閉じ込められたモレッツと“有害”な男性乗組員との通信で進み、実質彼女の一人芝居なのだが、同系統の映画と一線を画すのはそこが銃座であるという点だ。なんてったって機銃が撃てるのだ。両脇のハンドルを力いっぱい引くモレッツの仕草が実に良い。

中盤以降物語を牽引するのがあるマクガフィンなのだが、今時“コレ”でサスペンスを形成するベタさが清々しい。爆風上昇による生還の本気さに拍手(ぜひご覧になっていただきたい)。

ところでこの映画に登場する男たちは揃って無能であり、記憶にも残り難い。だがそれは監督のロザンヌ・リャンは自覚的だろう。ラスト、サプライズ的に用意されたタイマン(最高!!)に助太刀もせず傍観している男どものショットを挿入していることからもそれはわかる。

その男どもと同様に、グレムリンも日本軍も掘り下げられず舞台装置でしかない。それでいい、それがいいのだ。83分、素晴らしい。
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