梅田

すべてをかけて:民主主義を守る戦いの梅田のレビュー・感想・評価

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ステイシー・エイブラムスの伝記かと思ったらもう少し広い、アメリカの選挙制度における人種間の不公平に焦点を当てたドキュメンタリーだった。内容はほぼ既知のものだったけど、改めて全部説明されるとこりゃひどいなという感想。選挙権が保障されるようになっても、「投票すれば殺される」というトラウマに支配された黒人老夫婦のエピソードには言葉を失う。一方で、投票日に3時間も並んでいる黒人男性が語る「先祖が命懸けで守ってくれた権利だ」と言う言葉の重みには胸を打たれる。
この度の大統領選と上院選で、ジョージア州を民主党が制したのは、報道によれば黒人投票率の劇的な向上が大きく寄与していたようで、まさにエイブラムスのこの映画での活動が結実した結果と言える。それ自体は素直に胸が熱くなる展開だが、きっと次の選挙ではその揺り戻しもあれば、相変わらず根拠のない不正論も吹き荒れるだろうと思うとふつうにイヤな気分になる。
『13th』と併せて現代アメリカの勉強に観てみると良いと思うが、ポップカルチャー的な取っ掛かりはほとんど無いカタい映画なので人には勧めづらい。しいて言えば、今やヒップなエスタブリッシュメント代表の趣すらあるオバマ、やはりスピーチのうまさは抜群ですね。あとはエンドロールのジャネール・モネイかな。
梅田

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