ノラネコの呑んで観るシネマ

サマーフィルムにのってのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

サマーフィルムにのって(2020年製作の映画)
4.1
高校生のハダシは時代劇の熱烈なファンだが、映画部で作っているのはむず痒い恋愛映画ばかり。
そんなある日、役のイメージにピッタリの凛太郎と出会ったことで、時代劇制作を決意する。
映画作りに燃える青春ストーリーに、「時かけ」的ジュブナイルSF要素をミックス。
未来の映画事情とか、ファストシネマやTikTokなどの隆盛を観るとさもありなん。
そんな中で大好きなものを継承してゆく、創作の連鎖というテーマと「時かけ」的ファーストラブストーリーの融合は上手くいってると思う。
ただ、最終的な着地点にどうしても違和感が。
一瞬をフィルムに永遠に閉じ込めるのが映画で、完成した時点から過去であると言う精神性と、本作が導き出した結論は明らかに矛盾する。
ずっと映画を語って来て、最後に演劇に乗っ取られたような印象を受けた。
主人公の葛藤の解消という点では、アリなんだが。
もしかして演劇の映画化なのか?と思ったが、共同脚本が劇団ロロの三浦直之。
うーむ、面白い映画なのは確かだが、これがもし演劇だったら、精神性も含めてさらにフィットしたんじゃないかな。