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オールドのkazataのレビュー・感想・評価

オールド(2021年製作の映画)
5.0
(2021年マイベスト1映画)

はい、来ました!今年のマイベストは本作で決まりでしょ……と言っても過言じゃないぐらいの熱量と興奮に鑑賞後は飲み込まれました。
(そもそも上映前のシャマラン不意打ち登場の時点で涙が出そうになっちゃうほどのシャマラン大好き人間ですが…笑)


(シャマラン作品は前情報一切なしで見るべき映画なことは間違いないので、ネタバレってほどじゃないと思うけど鑑賞後に読んでいただければ幸いです↓)


予告を見た時に"老いの恐怖"を描いていると知った時点で、大好き映画『ヴィジット』を思い出してニヤニヤしちゃったわけだけど……もう初っ端のシーンから(『ヴィジット』的な)姉弟コンビが歌を歌っていて(→フリ)、家族みんなで"時間"や"年齢"にまつわる会話をしていて(→フリ兼設定説明)、その後のホテル内シーン含めて夫婦間の"断絶"(→フリ)が言葉じゃなくて映像で語られている──という一連の隙のない導入部を見ただけで早々に傑作を確信!
(「弟くんのその設定なんだよ!」がちゃんと生かされているし、「早く大人になりたい」というお姉ちゃん心の内がバシッと伝わってくるビーチシーンの切なさもグッド!)

で、いよいよ例のビーチに行くわけですが……
ここで主演のガエル・ガルシア・ベルナルですよ!
はい、キュアロン監督作『天国の口、終わりの楽園。』大好き人間なんで、もうこのキャスティングだけでハート鷲掴み状態!

で、いろいろあって、(トーマシン)マッケンジーちゃん登場!
デブラ・グラニック監督作『足跡はかき消して』を見て「ポスト・ジェニファーローレンスはこの子!」って(勝手に)決めてるんで、シャマラン作品登場に歓喜!

もちろん、不可思議なビーチで巻き起こるアレコレも楽しくて……さらに、これまた大好きなタルコフスキー監督作品(を含むいくつかの映画からインスピレーションを得たとのこと…)を連想するシュールで哲学的なSF感や舞台設定が最高!
(『惑星ソラリス』的な精神の壊れ方と『ストーカー』的なゾーン感…)
(パターナリズム=権威主義的な人物の危うさの的確な表現もナイス…)
(例のクイズの元ネタの映画を知らなかったことが悔やまれる…)
(顔のシワの撮り方も『ストーカー』での横顔を思い出したな…)

そして、まさしく文字通りな"一生分"の家族愛に涙が溢れてしまい……ありがとう、シャマラン監督!
(俳優ってまさに"映画内のキャラクターの生涯を上映時間内で演じ切る"わけで…メタ的にもグッとくるよね)
(大活躍しまくりなシャマラン監督自身の存在が明示されているおかげでメタ映画的であることも序盤からはっきりしているし…)

あとは……「精神的に未熟なまま身体は大人になってしまうことの危うさと悲劇」がサラッと描かれているのも秀逸!


笑って、泣いて、楽しかったー!こんなに大満足な映画は久々に見たぜ……と思ったらIMDbの評価が相変わらず低すぎるんですけど!
(シャマランあるある…笑)
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