TakahisaHarada

オールドのTakahisaHaradaのレビュー・感想・評価

オールド(2021年製作の映画)
3.8
淡々と時間経過の残酷さを描いた作品…だけど悲観的な気分にはならなくて、観た後の感想はむしろ不安の解消に近いような感覚だった。

作品の設定は、自分の死に関する原体験(テレビでプロジェリア症候群を見て、「早く大人になれて良いな」と言ったら「人より早く死んじゃうのが良いの?」と親に言われた)とも通じていて好きだった。

アクチュアリーの父ガイが序盤、色々な出来事の確率を口にしているけど、定量的な裏付けがあっても覚悟を決めて備えることはできなくて、結局どんな出来事も事が起こってから覚悟が決まるものだという風に作品のメッセージを受け取った。

トレントとマドックスが、家族に起きたあり得ない出来事をわりと受け入れてるように見えて、「こんなに理不尽なのになぜ…」と違和感を覚えつつ観ていたけど、観終えてこれも事が起こったら覚悟が決まるものだということを表した描写だったのかなと思った。
子育て、親の老化・病・死、自分の老化…どれも実際に事が起こったら覚悟が決まるもんだよと作品を通じて言ってくれているようで不安が解消したような気分になったのかもしれない。子育てに関しては今まさに自分がそれを感じてるところ。

ネットで見つけたホテル、好みから選んだウェルカムドリンク、てんかんの女性…序盤のちょっと引っかかる展開がちゃんと回収されるの良かった。「職業を覚えてる」設定がちゃんと活きてくるのも良かった。