ゆるゆるした雰囲気だけど、人の生と死について扱っているので、例えば水たまりの中に沈澱する砂みたいに、表面は綺麗で明るく見えても底には沈む何かが確かにあるような、そんな重さも感じた。
それでもずしんとくる重さではなくてあくまで砂のような雰囲気でソレがあるのは、荻上さんのマジック。
『かもめ食堂』の純度を浴びれると思ってたので、正直ちょっと戸惑いもしたけど、
炊き立てのご飯、塩辛と野菜の漬物、風呂上がりの牛乳というお料理とも言えない極めてシンプルなご飯たちがこれでもか！っていうくらい魅力的に描かれているのはやっぱり通ずるものがあってすごい、、、この誘惑に抗える人はいないよ、、、！
個人的にはもっともっとこの方面が全面にピックアップされてても良かった〜。
好きなシーンも多かったけど、ベストはやっぱりみんなですき焼きを囲むシーン。
“ささやかな幸せを細かく見つけていけばさ、なんとか持ち堪えられるのよ”っていう島田さんの言葉が体現されてたと思う。
いつの間にか生活に入って来て、いつの間にか食卓を一緒に囲むのが当たり前になって、なんだかいいなあ。いないのが逆に変な感じになっちゃう、みたいなね。
そして、シリアスな役も、次元を越えた役にさえカメレオンみたいになりきれてしまう彼だけど、わたしはこういう松山ケンイチが好きだと気付いた。もっと見たい。
あとね、風呂上がりの牛乳は父譲りだったね、良かったね。
