アゴ

林檎とポラロイドのアゴのネタバレレビュー・内容・結末

林檎とポラロイド(2020年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

冒頭から聞き慣れない音が響いて、なぜか不快に思った。その音の正体が壁に頭をぶつけている音だと分かって、血の気が引いた。
主人公は記憶を失くしたかったんだと思う。新しい記憶を作っていく中で、その人生にある程度満足し、過去の記憶はもう取り戻したくないものになっていた。
けれどプログラムの一つがきっかけになって、ついに記憶を取り戻す。その頃には、もう過去と向き合うだけの心が復活していた。
過去から蘇った知恵の実、腐った中で一つだけ残っていた林檎をかじり、主人公は元の人生と向き合う。良いラストだった。
ポラロイドというのがまた良い。スマホで撮ってクラウドに上げるんじゃあまりに味気ない。
どこか可笑しみがあって、アナログで望郷の念に駆られる、取り残された人々が歩みだすための映画だったように思う。好きだな。
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