ヒロオさん

皮膚を売った男のヒロオさんのレビュー・感想・評価

皮膚を売った男(2020年製作の映画)
3.8
シリア難民の男が自らを「生きた現代アート作品」として売り、国境を越える話。

まぁ良かった。

「難民」としてではなく、「商品」としてならば、自由に国を行き来できる現状を逆手にとり、人間を商品にするというプロットがユニークで興味深い。

蓋を開けてみると、話の展開も予想外の方向へ行ったりして見応えがあった。

映像についても、現代アートの世界が絡むだけあって、芸術的なシーンが多いのが印象的だった。

一方で、難民問題と引っ掛けた割に、そこへの風刺や問題提起を感じられなかったのは残念だった。
ストーリーの要素として盛り込んだだけという感じで、そこに製作者の思いがないというか。深く見えて、浅いというか。

製作者の主張をハッキリ投げかけろとは言わないが、観客に考えさせるような投げかけ方はあって欲しかった。
少なくとも私は、本作を観て特に思うことはなかった。

主人公が軽率な人間だったのも、作品の質を落としていたと思う。
観客に思わず何かを感じさせるような佇まいもなく、単に社会派映画に足るシリアスさを削いでいた。
人間的に深みがないので、ラブストーリーの部分も薄っぺらく見えてしまい、感情移入できなかった。

モニカ・ベルッチが金髪で出ていたのが衝撃。
ヒロオさん

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