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弱くて強い女たちのakrutmのレビュー・感想・評価

弱くて強い女たち(2020年製作の映画)
3.9
出奔していた父親の訃報が母親の70歳の誕生日にもたらされたことがきっかけで、3人の娘たちと母親、父親、そして父親の愛人の間で明らかになっていく人間関係を描いた、シュー・チェンジエ監督の家族ドラマ映画。シュー・チェンジエ監督のデビュー作品で、自身の祖母の体験を参考に留学中に製作した短編映画が元になっている。

高級中華料理店のオーナーである母親とその娘たち(息子はいない)の物語という設定は『渡る世間は鬼ばかり』のような感じ(勝手に頭に浮かんだだけ)だが、亡くなった父親が中心となるストーリーは全く異なっている。内容的にけっこうありふれたテーマであるが、父親との距離感が娘によって微妙に違ったりして深みが感じられ、またそういう違いを台詞ではなく演技によって伝えていく演出が効果的である。メインテーマは、家族の距離と赦し。でも、ちょっと欲張りすぎて、内容を詰め込みすぎなのが玉に瑕。原題の『孤味』がとても味わい深い題名だけに、邦題は(英題の『Little Big Women』も)かなり物足りない。

娘たちを演じたシェ・インシュエン、ビビアン・スー(もうこんな役をやる歳になったと思うと感慨深いとともに懐かしすぎる)、サン・カーファンがみんな魅力的なのも、本作の見どころ。そして母親役を見事に演じたチェン・シューファンは、本作品ではじめて金馬奨(台湾を代表する映画賞)の主演女優賞に輝いている。タクシーでのカラオケが笑えた。
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