良かった！
北朝鮮の強制収容所のリアルな実態を体験者の目線から描いてて、過酷な状況をあえて粗めの3Dアニメで見せるのが効果的だった。これだけタブーな題材にベタなドラマ演出を盛り込んで、ちゃんとしたエンタメ作品に仕上げてるのが見事。冒頭のスピーチで説明される通り政治的要素はほぼなくて、家族愛に友情に恋愛という普遍的ドラマが展開するのが良かった。
一家の父が政治的理由で捕らわれて、理由もわからぬまま家族全員が強制収容所に収監される冒頭からゾッとする。そこから収容所内の凄まじい生存競争が描かれていくんだけど、絶望的な状況の中でしたたかに生き抜こうとするヨハンと、常に人を思いやって自分を犠牲にする母が対比される。
ヨハンが成り上がっていくくだりが怖くて、そこから彼が自分を見つめ直して人々に連帯感が生まれていく展開になって、最後にヨハンが母の心を引き継ぐのがジーンと来る。
いちおう日本の映画(インドネシア合作)なんだけだど、全編セリフが英語で全世界に向けた映画だった。「海辺の彼女たち」も邦画だけど全編英語字幕だったね。
