KUBO

アメリカの友人のKUBOのレビュー・感想・評価

アメリカの友人(1977年製作の映画)
3.6
『パトリシア・ハイスミスに恋して』鑑賞前に、彼女の映画化された作品を見て予習。

先日、東京国際映画祭で最新作『PERFECT DAYS』を見たヴィム・ヴェンダーズ監督作品『アメリカの友人』。

それにしても『太陽がいっぱい』はルネ・クレマン監督、『見知らぬ乗客』はアルフレッド・ヒッチコック監督、そして本作はヴィム・ヴェンダーズ監督と、パトリシア・ハイスミスの作品はそれぞれ名だたる名監督によって映画化されてるなぁ。当時、余程の人気作家であったことが窺えるし、またそれぞれの監督によって明らかに作風が違うから、こう言った原作の作家ベースで鑑賞してみるのも興味深い。

見ず知らずの人間から突然殺人を持ちかけられるのは『見知らぬ乗客』と近いが、本作で主人公のヨナタン(ブルーノ・ガンツ)がそれを引き受けてしまうのは白血病で余命いくばくもない身体だから。

パリの街並みや、ホテルの障子、地下鉄や列車が舞台のシーンも多く、ヴィム・ヴェンダーズらしいこだわりを感じる。

驚いたのはデニス・ホッパー演じる男の名前がトム・リプリーだということ。前情報なしで見たのだが、なんとこの映画は『太陽がいっぱい』の続編で、主人公トム・リプリーのその後を描いた『トム・リプリー』シリーズの第3弾なのだそう。アラン・ドロンがデニス・ホッパーになっちゃった(笑)。

でも、あの状況でリプリーは捕まらずに逃げて、いい加減な暮らしを続けていたわけ? 第2弾を読んでないんで『太陽がいっぱい』から本作までのリプリーの変遷はわからず。

同じクライム・サスペンスとは言っても、ヒッチコックとヴィム・ヴェンダーズだとテンポも見せ方も違うんだけど、事件全体の構図が最後までわかりずらいのは難点。

ちょっとびっくりしたのは、この時代のヨーロッパって、手動で簡単に列車のドアが開くのね。危なくてしょうがない。
KUBO

KUBO