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スウィート・シングのmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

スウィート・シング(2020年製作の映画)
3.3
「イン・ザ・スープ」のアレクサンダー・ロックウェル監督による25年ぶりの日本劇場公開作。
ベルリン国際映画祭ジェネレーション部門クリスタルベア賞(最優秀作品賞)受賞。

マサチューセッツ州ニューベッドフォード。
15歳の姉ビリー(ラナ・ロックウェル:監督の監督の娘)と11歳の弟ニコ(ニコ・ロックウェル:監督の息子)は定職のない父アダム(ウィル・パットン)と3人暮らしで、学校に行かず車をパンクさせて修理工場から小銭を貰うなどして小遣い稼ぎをしている。
普段は優しいがお酒が入ると人が変わる父アダムが、とうとうアル中毒で倒れ、強制入院させられる。
2人は家を出ていった母イヴ(カリン・パーソンズ:監督のパートナー)と恋人ボー(ML・ジョゼファー)のところに身を寄せるが、弟がボーから虐待を受けたため、近所に住む少年マリク(ジャバリ・ワトキンス)と3人で、母親のいる家を飛び出す。
車を盗んだり、留守の豪邸に忍び込んだり…。
やがて、優しい老夫婦がキャンピングカーに迎えてくれるが…。

"クラスメートの女の子"
"サンタクロースからのプレゼント"
"ウクレレ"
"キャセロール"

「パパはただ悲しいだけなんだ」

「ビリーの生まれは売春宿だよ」

「居候のくせにそんなウソをついて。想像は頭の中に閉まっておけ!私らの幸せを壊すんじゃないよ!」

「俺たちはアウトロー!」

頼る大人のいない子どもたち。
それでも、輝く宝石のように生きる子どもたちの姿を、瑞々しく捉えている。
インディーズの作品らしく16ミリフィルムを使い、モノクロ映像に一部カラー映像を織り交ぜたり、音声を排した映像だけ見せたりと個性的。
音楽のセンスも素晴らしい。
曲は…
・ビリー・ホリデイ(アーヴィング・バーリン作曲)の「I'VE GOT MY LOVE TO KEEP ME WARM」
・ヴァン・モリソンの「SWEET THING」(テーマ曲)
・カール・オルフ作曲「GASSENHAUER」
・ネルソン・エディの「Trees」
他に、アグネス・オベル、シガー・ロス、ブライアン・イーノ、ミリアム・マケバ、アルヴォ・ペルト、モーツァルトなど
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