感情のたかぶりが制御できない。とにかく凄いものを観た。
役者も街も音も、全てが美しい色に満たされている。香芝と王寺、吉乃と明日香、この4人の男女の色気が、今井町の景観に溶け込み、その奏でる音に虜になる。
特に吉乃。途中から家屋が描写されるたびに、吉乃を連想してしまう。
そして、音楽。なんて心地いいサウンド。香芝が唄う『この世界をうまく泳ぐなら』に心底惚れてしまった。
ずっと観ていたい、ずっと聴いていたい、そんな琴線に触れる映画だった。
追記 2回目の鑑賞
吉乃の全てのシーンで違う振袖、流れる唄の意味、そして水、風、猫、風鈴の奏でる音。全てに五感をシンクロさせながら楽しみました。
振袖は少しずつ赤から白に変化。香芝の情熱によって、吉乃の心が少しずつ新しい未来に向かおうとしているのが色で表現されている。
吉乃が祭りでピアノを弾いたとき、夜から昼に時空が変化。心の夜明けを表現した背景に、王寺との連弾で楽しそうな吉乃の笑顔。それを診て、想いが成就した瞬間の香芝の笑顔は最高だった。