ロアー

クレイジー・ワールドのロアーのレビュー・感想・評価

クレイジー・ワールド(2019年製作の映画)
3.6
"ワカンダ"と聞いて「実際にそんな名前の国あったような?」とあなたが思い浮かべた国、それがウガンダ。そのウガンダの"ワカリウッド"におけるキッズ映画の巨匠・ナブワナIGG監督の作品です。

ここに至った経緯が全く分からない日本に対する謎の友好メッセージ。
映画好きなら飽きるほど観てきた、あの”映画泥棒”の代わりにこれを流してみたらどうだろうか?と思わず考えてしまった海賊映画撲滅映像。
"初めて観た映画にアテレコしてみた"レベルの実況音声に、映画の途中にも関わらずまたも始まる海賊映画撲滅映像。そして、かつて見たことのない角度で流れるエンドロール・・・

果たしてどこまでが映画で、どこまでがそうじゃないのか?そもそもこれは映画なのか?映画って何なのだろうか?

全ての常識をぶっ飛ばすワカリウッドパワーに翻弄されながらも、訳のわからない謎の元気が漲ってくる映画でした。

実況のテンションがとにかく面白くて、途中からもはやカメラに映る度に登場人物の名前を叫ぶだけの人になってたり、かと思いきやクライマックスの銃撃戦の最中に、突然「マンゴーが好き」と関係ないことを言い始めたり、自由が自由過ぎてあ〜もうお腹いっぱいでお腹痛い。
実況の字幕があのダサフォントとして有名な創英角ポップ体なのも逆にセンスいいし、諦めたのか不要と思われたのか、もはや時々字幕すらつかないのに何かたくさん喋ってる実況に腹を抱えて笑うしかない。
そもそも何で映画なのに実況が入るのか謎すぎて楽しい!!!

とはいえ、これは児童誘拐と戦うための映画だとはっきり劇中で申しておりましたので、そう言う真面目な映画なのです。

悪党に誘拐されても果敢に戦い、自らピンチを切り抜けるワカリウッドの若きアクション・スター=ワカ・スターたち。監督のお子さんであるアイザック・ニュートン君もその一人で、キッズとは言えキックやパンチは本当にキレが良くてかっこいい&かわいかったです。

頭が吹き飛ぶ残酷描写ですら勢いが良すぎて全く残酷には見えないのに、「金を落として無事に戻ってきたことはあるか?」からの一連の流れは突然リアルで闇深いし、部下が攫ってきた子供が実の甥っ子だったと気づいた時のボスの「どうしたらいいって当たり前だろ!?他の子どもと一緒に殺す!」ってセリフにも驚愕したし、その奥深さを探究し始めたら沼って帰ってこれなくなりそうな、そんな初のワカリウッド映画体験でした。
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