原田秀夫監督が横山秀夫のミステリー小説を映画化。
1985年の日本航空機墜落事故を題材に、取材合戦の最前線に飛び込んでいく地方新聞社の奮闘と葛藤を描いた社会派ドラマ。
(2008、2時間26分)
1985年8月12日、羽田空港を離陸した日本航空123便が行方不明になり群馬県の山中(御巣鷹山)に墜落したとの一報が入る。
地元紙「北関東新聞」で航空機事故の全権デスクを任された敏腕記者・悠木は、社内での確執や対立で苦労しながら、一面に飾る特ダネを巡り判断を迫られる…。
~登場人物~
①北関東新聞社
・悠木、遊軍記者・日航機事故担当全権デスク(堤真一):主人公。息子と疎遠になっている。
・粕谷、編集局長(中村育二)
・追村、編集局次長(螢雪次朗)
・等々力、社会部長(遠藤憲一):悠木と確執。
・守屋、政経部長(矢島健一)
・亀嶋/カクさん、整理(見出し)部長(でんでん)
・岸、政経部デスク(田口トモロヲ)
・田沢、社会部デスク(堀部圭亮)
・佐山、社会部記者・県警キャップ(堺雅人):神沢といち早く現地に飛び現場レポートを作成する。
・神沢、社会部記者(滝藤賢一)
・玉置、地域部記者(尾野真千子):事故原因について特ダネ情報を掴む。
・伊東、販売局長(皆川猿時)
・安西耿一郎、販売部(髙嶋政宏):悠木の親友で登山仲間。事件の日、ある意図があり、悠木と谷川岳のロッククライミングにいく予定だった。
・暮坂、広告部長(樋渡真司)
・白河社長(山﨑努):悠木の母は白河のかつての愛人。
②その他
・安西小百合、安西耿一郎の妻(西田尚美)
・安西燐太郎=安西耿一郎と小百合の息子(成長後:小澤征悦)
・黒田美波、元・社長秘書(野波麻帆)
「顔が雑な方が良かったですか?」
「北関の伝統は現場で他社を圧倒するということじゃなかったんですか」
「100パーではないです。いや、100パーなんです。いや、なんかおかしくないですかね、これ。なんていうか?少し出来すぎていませんか、この話」
"裏を取る"→←"誤報"
"チェック、ダブルチェック"
事故が起こった1985年と登山していた過去の時間軸が交差して展開する(事故から何年も先の未来も登場する)ので、髙嶋政宏と小澤征悦が親子であること、2人と堤真一との登山を通じての繋がり、そして堤真一と息子の関係(家族関係)を見逃さないようにしないと、作品のテーマがよく分からなくなるので、ご注意(私のテレビでは音声が聞き取りにくかったので…)。
「クライマーズ・ハイ」とは、登山者の興奮状態が極限まで達して恐怖感が麻痺してしまう状態のことらしい。
仕事においても同様で、陶酔感に浸った状態になると冷静沈着な判断が出来なくなり危険だということ。
私が社会人になった時に初めて知ったアルフレッド・マーシャルの"Cool Head but Warm Heart"( 冷静な頭脳と温かい心)という言葉を思いだしました。
さて、本作品で堤真一が行った判断は、果して正しかったのか間違っていたのか?
単純には決められませんね。
高度成長期の日本のサラリーマンの多く(?)がそうだったように、堤真一は職場では有能で一目置かれていても、仕事に埋没するあまり、家庭を疎かにして、息子(家族)ときちんと向き合わなかった人です(部下や被害者家族への思いやりがあり、もちろん悪い人ではありません)。
それが、髙嶋政宏の言葉と共にラスト・シーンに繋がっていきます。