似太郎

アムステルダムの似太郎のレビュー・感想・評価

アムステルダム(2022年製作の映画)
4.3
【突然炎のごとく】

非常にハリウッドらしい映画だった。豪華キャストで戦争の時代から戦後までを駆け抜けるマヌケな三人組を取り巻く陰謀に次ぐ陰謀と、コミカルなやり取りにクスクス笑える陽性のエンターテイメントでさすがはデヴィッド・O・ラッセル。社会派✖️王道系エンタメのいいとこ取りみたいな贅沢極まりないコメディである。

主演クリスチャン・ベイル、マーゴット・ロビー、ジョン・デヴィッド・ワシントン、マイク・マイヤーズ、マイケル・シャノン、ラミ・マレック、そしてロバート・デ・ニーロ…。

皆完璧なヒーローでもなく極悪人でもない。どちらかと言うとやさぐれたキャラで埋め尽くされており『アメリカン・ハッスル』の焼き直し+スコセッシやトリュフォーへのオマージュみたいな作りでニヤニヤしてしまう。見せ方が映画的で撮影も美しかった。ちょっと洒落たワイン🍷を飲んでるような心地良さがあって、良い意味で軽薄な映画と言えるかも。

アメリカでも日本でも評判が芳しくなく、不入りとなった作品だが監督ラッセルらしい職人芸は健在の人生肯定劇であり人間讃歌。最初から最後まで「これこそが映画だよなぁ〜」っていう満足度の高いショットが続き、久しぶりに元気なアメリカ映画が戻った気がする。
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