アル華

マッドマックス:フュリオサのアル華のレビュー・感想・評価

4.0
【世界はMadMax!を求めている】
『マッドマックス 怒りのデスロード』の前日譚である本作は、この弱肉強食の世界で歩んできた部隊長フュリオサの壮絶なバックグラウンドを見事に描いた快作です🎬

✒️『怒りのデス・ロード』を超えていく
『怒りのデス・ロード』(2015)では3日間の出来事ですが、本作は20年近くの歳月をかけて部隊長フュリオサの生涯を壮絶に描き切り、同時にシェイクスピアのように詩的で神話的です。

世論では評価が二分化している本作。
鑑賞してすぐは前作とのギャップに戸惑いましたが、本シリーズの真骨頂である世紀末の世界観も相まった”極限状態”は健在で一安心。
ディメンタス役のクリス・ヘムズワースから監督への質問にて、「いくら前作が良くても同じ事はやれない。観客は違うものを求める権利がある。」と語るその通りの作品でした。

✒️安心する面子、不完全な敵
本作の敵役ディメンタスの残虐的でどうしようもなさは、シリーズトップクラス!!
景気良くシタデルに乗り込み、堂々と演説をしますが、それを上から見下ろすイモータンジョー一向のエグ安心感ったらない。

『怒りのデスロード』を知っているからこそ、誰に喧嘩売ってるんだとなるし、ガスタウンを占拠するもリーダーとしての器は無いに等しく、とにかくラスボスとしての不完全さが魅力的でした。

✒️荒廃した世界で希望を夢見る変化
前作で魅力的に描かれたニュークスの心情変化と成長のような物語は引き継がれます。
中盤からフュリオサが心を開く警護隊長ジャックは、砦から弾薬畑とガスタウンを繋ぐウォータンクの運転のみの人生から”緑の地”という微かな希望を信じ、フュリオサを手助けます。
キャラクター造型は、戦闘からフュリオサにとっての存在価値までも前作のマックスに近く、結末こそ残念ながらも、それは『怒りのデス・ロード』にてマックスが果たしてくれます。

一部では、フュリオサが男性に心の救済を得る描写に違和感ある声もありますが、個人的にはこのジャックとの結末こそが”戦士フュリオサ”の決定打になり、無法者マックスを受け入れ戦った彼女の真骨頂だと思えました。

✒️結び🍙
『怒りのデスロード』と同じ事を敢えて映像に残さず、別アプローチで完璧な前日譚を生み出した事でより、フュリオサとマックスの戦いに深みをもたらしたジョージ・ミラー監督あっぱれ🙌
また劇場に足を運び、本作のレビューをよりまとめていきたいですね!

✒️あらすじ(参考:映画.com)
世界の崩壊から45年。暴君ディメンタス将軍の率いるバイカー軍団の手に落ち、故郷や家族、すべてを奪われたフュリオサは、ディメンタス将軍と鉄壁の要塞を牛耳るイモータン・ジョーが土地の覇権を争う、狂気に満ちた世界と対峙することになる。狂ったものだけが生き残れる過酷な世界で、フュリオサは復讐のため、そして故郷に帰るため、人生を懸けて修羅の道を歩む。
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