竜どん

ある人質 生還までの398日の竜どんのレビュー・感想・評価

ある人質 生還までの398日(2019年製作の映画)
3.2
当時世界を騒がした「聖戦(ジハド)」を掲げたテロリスト集団「IS(イスラム国)」による身代金目的の民間人誘拐。日本でも「自己責任」というワードが駆け巡り、テロリストとは交渉しないという日本も含めた国家の有りように賛否が分かれたのを思い出す。

副題から助かることは分かってはいるけれど、長尺ながら最後まで重々しい緊張感が続きダレることは無い。IS自体残虐非道なテロリスト然として描かれておりそれぞれの正義などという余計な要素も無く、主人公ダニエルの恐怖や無力感・我々一般人には目に触れることのない家族の悲嘆や葛藤・政府との関わり・交渉人の奔走が淡々と描かれ、あくまで被害者本人とその家族の視点からの実録的映画として世界に起きている現実を知る事が出来る。

米やシリア民主軍により壊滅宣言がなされ「IS」の名が人々の記憶から消えたとしても、今を生きる我々はその歴史を、事件があったという事実を記憶から風化させてはならない。
「会えなくても仕方ない。」
フォーリーの今際の台詞が重い。

イオンシネマワンデイパスポート1本目
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