こちらは30分の短編だけどアルモドバル作品の中で1番好みだった。
ジャン・コクトーの戯曲「人間の声」をベースに、アルモドバル監督がが現代風に脚色し映画化した今作。
アート、アート、アート……
全てのシーンがアート。そもそも主演ティルダ・スウィントン自身がアートだ!
恋人に別れを告げられたばかりの女性を主人公に、電話での会話劇のみでストーリーは展開。女性は最初こそ未練があることを悟られないようにしていたものの、次第に元恋人への感情を露わにしていく……。
もはや色彩は勿論、家具や調度品のディテールの拘りが圧倒的。明るいモダンな家具や原色の家具…と、インテリアに釘付け。
更には、ティルダのファッション(存在そのもの)が加わって完成される画の完成度には唸る!唸りっぱなし!
エキセントリックまがいの感情の崩壊と原色アートな映像センスが見事にマッチした作品だと思う。そして一人芝居でひたすら魅せるティルダあっての作品とも。
アルモドバル監督の長編作品との相性には隔たりを感じるけれど、やはり色彩感覚は突き抜けてるし、認めざるを得ないし、惹かれる。