【任天堂の死、それは冒険のはじまり】 フィリピンで『Death of Nintendo』という作品が作られた。「任天堂の死」。なんてアグレッシブなタイトルだろう。しかも監督があのラヤ・マーティンと聞く。ラヤ・マーティンといえば、『A Short Film About the Indio Nacional』がカイエ・デュ・シネマ年間ベストに選出されたことで有名だ。また、ホームビデオの質感で5時間物語る『NOW SHOWING』の監督でもある。そんなフィリピンのアート映画監督が任天堂でどんな映画を作ったのかというと、ゆるーい子ども映画であった。
一方で、少年の無邪気な日々に力点を置いているので、映画としてはグダグダである。てっきり、停電でゲームができないから冒険に出る話かと思ったら、プールやファストフード店、広場で遊んだり、恋愛をする狭い範囲の物語であり、女の子と肝試しする展開に70分以上かけるのは正直、停滞しすぎではと思う。『NOW SHOWING』のスローな作劇を踏まえたら、『Death of Nintendo』は3時間ぐらいあってもいいのではと思ってしまう。割礼に行く後半20分のぶっ飛び具合が面白いため、なおさらだ。