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DIVOC-12のSpicaのレビュー・感想・評価

DIVOC-12(2021年製作の映画)
3.8
「明日を生きて」

12人の監督による1篇10分の12の短編からなるオムニバス作品。COVID-19の影響を余儀なく受けた映像業界を支援するべく立ち上げられたプロジェクトによって生み出された映画とのことで、COVIDを逆にしてDIVOC。タイトルからも負けないという強い想いが伝わってくる。

全く異なる世界が創り上げられている12篇、どの作品にも希望の光が灯っているのが感じられた。その光は強かったり弱かったり、温かかったり切なかったり、各種各様なのだけど、確かにそこに希望はあって。

特に印象に残ったのは藤井道人監督作品、横浜流星とロン・モンロウが日本語と中国語で会話する『名もなき一篇・アンナ』。京都、函館、沖縄での撮影など映像や静かな音楽も美しいが、彼らが囁くように交わす言葉がさらに美しい。「君はずるいよ。まだ未来が待ってるんだもん」「私たちは忘れる生き物なの」「会わなかったら寂しいって思うこともなかったでしょ」「君が思うほど世界は悪くない」「明日を生きて」

他にも映画愛の詰まった『ユメミの半生』(松本穂香)、夢に憧れ現実を知る『あこがれマガジン』、清野菜々のアクションが痛快な『死霊軍団 怒りのDIY』など。
各短篇のメイキング映像もあってそれを観るとさらに応援したくなりますね。
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