はるちゃん

これからの人生のはるちゃんのレビュー・感想・評価

これからの人生(2020年製作の映画)
4.0
10年ほど前に観た『NINE』以来のソフィア・ローレン。NINEの時点で70歳を超えていたと思うが、当時、年齢を超越した抜群のプロポーションと色香に驚いた。そのイメージのままで観たので最初はソフィア・ローレンと気付かず…。それでも鋭い眼光は健在。相変わらず魅力的だった。

市井に生きる独居老人、ヨタヨタ歩きながら家事をこなし身寄りの無い子どもの世話をする日々。しかし、ふと意識が無くなるような身体にも限界がやってくる。そんなマダム・ローザの人生の終末の日々に身寄りのないモモが預けられる。
生きるためにクスリの売人をするのも厭わない抜け目ない子ども。このモモ役の子役が目の表情で語る素晴らしい演技だった。

縁もゆかりもない子どもの世話をし、ひねた子どもに同居のルール、人としてのダメ出しを正面から説いていくマダム・ローザ。その威厳と姿勢の前に、やさぐれたモモも従うようになり、徐々に家族としてマダム・ローザを支えていく。野良犬のような無表情のモモが、終盤は子どもらしく可愛い顔に変わっていく。

人が真っ当に育つのには何が必要か。家、家族、お金…色々あるが、大切なのはどんな人とどう暮らすか、周りに居てくれる人の存在の重要さを考えさせられる1本だった。少なくともマダム・ローザと生きた日々は、モモ少年を救い、生きていく糧になったはず。
はるちゃん

はるちゃん