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愛してるって言っておくねのdalichokoのネタバレレビュー・内容・結末

愛してるって言っておくね(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

セリフはない。

短いオフカラーの短編映画の中に時々出てくる青は何を意味するのだろうか。寂しい食卓で向かい合う夫婦に宿る影。影の存在が現実と未来を分断する。この夫婦には可愛い娘がいたようだ。やんちゃで元気な少女を両親はこよなく愛した。投げたボールが壁を壊して、父親が青いペンキを塗る。壊れた壁はこの家族の分断を意味する。

銃乱射事件を最後に示すが、そのことだけをこの映画は語っていないように思う。どんな理由であれ、家族が離散してゆく悲しみ。夫婦という存在が時として”子供だけ”を媒介にしていて、二人の愛情がいつしか薄れてゆく現実もまた真実だ。

なぜこれほどときとともに人は別れてゆくのだろうか。きっかけはともかく人のつながりを阻害するものを、この映画の影が示そうとしているようだ。

素晴らしい映画だった。

2018年のフロリダの高校で銃乱射から逃げるときに送ったテキストがタイトルになっている。
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