今後もこんなネクストレヴェルの作品を量産されたら、おそらくあと3本以内にはパルムドールにも手が届くんじゃないかと、本気で期待してる。国際映画祭の常連としても名を馳せる、日本代表のハマグチになるはず。長尺の映画ばっかり撮る人、として認知されていくのかどうかは、知らんけど。しかし……3時間あったんかコレ。マジでワシには体感2時間やったでぇ……なんならもう一回観たいでぇ
原作にあたる村上春樹の短篇を読んで、「あぁあれがここのモチーフに」という程度の気付きは随所にあったけど、そうだとしてもこれは紛れもなく「濱口竜介監督作品」である。ここまでとことんやられるともう、グウの音も出ない。本読みに本読みを重ねてとにかく演者に台詞を叩き込ませるスタイルは、この作品を製作するうえでも用いられているようだが、まさかじっさいに映画の中でそれを演者にやらせてしまうなんて。てか本読みのシーンなんか村上春樹の原作にいっさい出てこないから。しかしそのプロセスを経ることによって演者にしっかりと沁み付いた「言葉」が、「音を失った」あとの劇中でいよいよ輝きを放ち始めるクライマックスは、鳥肌モンであった。まじでネクストレヴエル。
凡庸な言葉ではいくらでも語れるけど、皆さまの素晴らしいレビューの前では霞むので割愛。でもこれは間違いなく2021年の一、二を争う傑作。そう感じたことは記録しておきたい。自分が正直に感じたことは、ちゃんと自分の言葉で伝えないとね。