Boss2054

ドライブ・マイ・カーのBoss2054のレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.8
まあ、ワタシは、演劇人なので、
演劇人観点から観るト、
ト云うか、その視点からしか観られなかったので、
一番の驚きは、
西島秀俊さん演じる家福悠介ト云う演出家が稽古場で、灰皿を投げなかったコトですね‼︎
何云ってるのト思われるかも知れませんが、
例えば、Wの悲劇にしても、近くは、幕が上がるにしても、
幕が上がるは、妄想シーンだけれども、
大抵、演劇をテーマにした映画作品に出て来る演出家は、灰皿を投げます‼︎
それは、ドラマチックであるとともに、
観客のイメージでもあるからだと思うのですが、
現役の演劇人から云うト絶対とは云いませんが、
すでにその様な演出家はコノ日本には居ません。
つまり、それは、まあ、古き良き時代の思い出的な描写トしてなら機能するかも知れませんが、
もはやそう云う時代ではないト思います。
それは、つまり、コノ作品が、日本映画としていかに新しいかト云う証明だとも思います。
コレこそが今一番新しい日本映画なのだなあ…。
ト、スクリーンを観ながら思いました。
ト、同時に、監督の濱口竜介さんは、
相当に日本の現代演劇に関わるコト関して調査をされたのだろうなあとも思いました。
それは、おそらく、他の演劇に関わらないシークエンスも全てそうであろうコトは想像出来ます。
それこそが作品の完成度の高さに反映しているのだと思いますね。

カンヌ国際映画祭で、日本映画トして、初めて、脚本賞を受賞したト云う快挙も、
チェーホフの戯曲と本編を巧みに構成したその構成力で理解出来ます。
優れた演劇作品をモチーフにした映画作品はそれが上手く行くトとてつもない面白い作品を生み出すモノなのですね‼︎
ワタシは、セールスマンを観た時にそう思いましたね。
アレも名作、セールスマンの死がモチーフになってますからね。

で、演技的に面白かったのは、
ココからはワタシの想像と妄想ですが、
岡田将生くんの演技でしたね。
岡田将生くん個人のコノ作品における演技はとてつもなく素晴らしいモノです‼︎
が、彼が演じている高槻ト云う俳優の演技は感情を重視する演技。
いわゆるメソード演技ト云われるモノです。
演出家、家福の演出術は、論理的な演出術です。
要は、二人の演技に対する考えは、実は、相容れないモノ、ト云う設定になってるンですね。
で、コノ場合、主人公は、家福ですから、
反対者の高槻は破綻して行くワケです。
自らも破綻し、作品をも破綻させてしまう。
コレはおそらく、濱口竜介監督の感情より論理を優先するト云う芝居づくりから来ているモノだと思います。
あくまでも想像と妄想ですが、

で、二人の主人公は、感情を表に表さないで、生活しているワケです。
本音とか本質とか云っても良いかも知れませんが、
そして、ついにその二人が感情を取り戻す。
ト云うのがコノ作品のキモの様な気がします。

とにかく想像するコトが多々あって、
それも演劇的な魅力ですが、
176分、飽くコトなく観られました。
正直、その独特なドキュメンタリータッチに、
その場に立ち会っている様な不思議な感覚も覚えました。
何と云って良いか分かりませんが、

実は、劇団員に勧められて映画館で、
観ました。
エンタテインメントばっかり観てないで、
アート系もちゃんと観なさい、ト。
映画館で、観て良かったです。
自宅で観たらコノ長丁場に耐えられたかどうか?
なので、映画館で観るコトをオススメします❣️
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