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ドライブ・マイ・カーのsonozyのレビュー・感想・評価

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.5
脚本家の妻・音(おと/霧島れいか)を突然失った喪失感と後悔の念を拭い去れない、演劇演出家・俳優の家福(かふく)悠介(西島秀俊)の物語。

悠介とのセックスの後、ストーリーテラーとなる性癖を持っていた音。
悠介が15年乗り込んでいる愛車、赤いSaab900ターボ。
そのエンジン音と共に、いつもセリフ練習用に聞く、音が吹き込んでくれたチェーホフの戯曲『ワーニャ伯父さん』のカセットテープ。

演出依頼を受けた広島の国際演劇祭のオーディションで選ばれた8名の年齢も国籍も様々な演者。
音と関係のあった青年・高槻(岡田将生)や、発話できず手話で演技をするユナ(パク・ユリム)ら。

そして、悠介の心に大きな影響を与えることになる、演劇祭のスタッフが雇った、無愛想だが運転の上手いドライバーのみさき(三浦透子)の存在と、二人の心の共振。

サーブの後部座席に並んだ悠介と高槻の対話。
悠介が知っていたが知らないふりをしてきた妻の秘密。
前世がヤツメウナギだった少女の話。
タバコを持った手をサーブのサンルーフから出すみさきと悠介。
みさきの故郷、雪の北海道での悠介とのやりとり。
『ワーニャ伯父さん』の舞台でワーニャ(西島秀俊)を慰める姪ソーニャ(パク・ユリム)の手話による長セリフ。

約40分のオープニングパートの後、キャスト&スタッフクレジットが登場するというユニークな構成もありますが、2時間59分という長さを感じさせず、この世界に入り込みました。

観た後に、原作の村上春樹の短編集『女のいない男たち』の「ドライブ・マイ・カー」も読みましたが、原作の世界観を維持しつつ、収録されている「シェエラザード」+「木野」の要素も混じえて映像化しちゃうとは。既に国内外で40以上の受賞となっているというのも納得。

余談ですが、今はもうないスウェーデンのSaab。特に車好きではないですが、登場する赤の900ターボは何故か記憶に残ってます。(原作では黄色のカブリオレ)