みつこ

ドライブ・マイ・カーのみつこのネタバレレビュー・内容・結末

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

絶対に家で観たら集中出来ない雰囲気&長さだから映画館で鑑賞

前情報ほぼ無しで行って、オープニングで村上春樹原作なのを初めて知り、うげげ!ってなった予感をしっかりなぞる様な導入と無駄に長過ぎる肌色シーンで若干焦ったけど。濱口監督のびやんびやんに冴えまくった手腕で本当にクオリティの高い映画になってた

最初は序盤の音の描き方、特にしながら物語りを語る、その物語のクライマックス部分でいくっていうのはさすがに茶番が過ぎるだろと思って
そんでそういう部分に勝手に神秘性や謎を持たせる男達に対してみさきが普通のことに思えるって言ってのけるのは
これまたやり過ぎって思った彼女の母親の二重人格(疑惑)設定が活きてるんだよね
フィクションみたいな人間と付き合わざるを得なかったみさきにしか言えないセリフ

こうやって、最初は過剰に思える設定や演出も、最終的な着地点がわかったら必要だったなってわかるようになってる脚本、つよい(語彙)

濱口監督の映画、寝ても覚めてもも好きだけどなんとなく人間の強い感情、矛盾や不条理に対しての諦め、受容みたいなことが描かれてることが多い気がしてて、村上春樹の女に対しての謎の期待や理想をいい感じに打ち消す悪魔的融合が実現してたように思う。
そして、穏やかで興味深くてでも何かが這い寄るような日常を描くのが本当に上手い。派手な動きやうるさいセリフも無しに、観てる人間の精神をからみとってきて鑑賞中の没入感がとにかくすごかった



岡田将生は車内のシーンが際立ってたけど終始なんとも言えない危うさがあって、車で事故って電話してるときの視線が特に印象に残る

あと家福の演出方法は実際に監督が取り入れている方法で、劇中で出てきた時はワクワクしたしリアルな作品づくりの過程が見られてシンプルに楽しくて少し得した気分になった


その人ごとの人生や幸福が深く静かに描かれてる映画っていうのは、今みたいに生活が激変して戸惑ったり試行錯誤してるときに観ると心にすーっと染みてくる

重いような軽やかなような、絶賛評価も納得の映画でした
みつこ

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