このレビューはネタバレを含みます
人は器用ではないから間違えるし喪失するけれど、受け入れて生きていくというよくあるといえばそういう主題。
映像で魅せるという作品ではなく、会話の台詞中心にストーリーが進み、原作は小説っぽいなと思ったら村上春樹だった。
淡々とした展開、引きの画、青みがかったフィルムのような色味、アジアっぽい感じ・・
心が強く大きく動かされるシーンがあるわけではないけど、自分も主人公たちと一緒に喪失をグッと受け入れられたような気になる、じわじわ響く映画だった。
ただし内容に対して尺が結構長いので、中弛みして退屈に思ってしまう人もいるかも。
個人的には、象徴的に出てくる前世のウナギが何のメタファーなのかが非常に気になった。ウナギの口にあんな吸盤がついていることも知らなかった!
かつてパルムドールを獲った今村昌平監督作品「うなぎ」では得体の知れない欲望(主に肉欲)のモチーフとして描かれていたので、それを連想してしまったり。
あと、最後の韓国での生活のシーンが飛躍しすぎてて「?!」となったけれど、あの子が幸せに暮らせているならそれでいいさ、詳細までは分からなくても・・と勝手に少し希望を見出したりもした。