Jun潤

劇場版ツルネ ―はじまりの一射―のJun潤のレビュー・感想・評価

4.0
2022.09.05

テレビシリーズ再放送視聴案件。
京都アニメーション制作ということで作画への期待がバリバリにありましたが、弓道に燃える男子高校生という題材とはどのような化学反応を起こすのか、期待です。

風舞高校弓道部の鳴宮湊ら男子部員たちの弓道にかける熱い想い、かつて同じ一射に心を奪われたコーチの滝川雅貴と湊の執念、湊の幼馴染の竹早静弥が弓道に求めるもの。
高校生たちの青春の物語が描かれる。

まず今作、事前情報では総集編かどうかもわからず、おそらくは続編だろうということで観ることにしました。
加えてテレビシリーズを後半は流し見していたこともあり、序盤にシリーズ前半の話がまとめられていたり、初見かと思うシーンが多発したりと、本戦と決勝トーナメントが劇場版で初めて描かれているんだとばかり思っていました。
実際は違っていたわけですが、ということは初見、全く知らない状態でも楽しめるわけですし、一本の作品としてまとまっていたこともあって、公開日に解禁されたテレビシリーズ第2期のための復習としても楽しめる作品だと思います。

弓道の作品とはいえ、何にでも共通するテーマとして“手段”と“目的”や、同じ部の仲間がいるということ、今はもういない人が遺した想いと、弓道経験者でなくても120%楽しめる出来でした。
的に当てることなのか、正しく弓を引くことなのか、そして弓は1人で引くのか仲間と共に引くのか、雅さんと湊を惹き込んだ“ツルネ”に秘められた想い、それらが上手く纏まっている、かなり完成度の高い総集編だったと思います。

京アニ制作らしく、劇的な試合の展開と同じくらい、そこに至るまでの過程に重きを置いていたり、考えを改めたからといってすぐに結果に出るのではなく、時には外してギリギリでトーナメントに残ったりと、その辺をリアルめに描いていたことにも好感が持てました。
映画の尺の関係上か、そもそものストーリー通りか、トーナメントの展開がご都合だとか駆け足だとかに感じられてしまうのは気になりました。

しかし劇場で観るからこその、弓を引く音、直後訪れる無音、そして“ツルネ”と、作画と演出、そして音がガッチリ噛み合わさった、テクニカルな作品というか作中でも描かれていたような、仲間同士のチームワークが存分に発揮されている作品です。
Jun潤

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