Punisher田中

ヒッチャー ニューマスター版のPunisher田中のレビュー・感想・評価

3.8
シカゴからサンディエゴへの砂漠地帯に作られたハイウェイを走り、陸送の仕事をしていたジム。
そんな中、ある嵐の夜に1人のヒッチハイカーを車に乗せるのだった。
しジョンと名乗るその男は、最初の印象は紳士といった感じだが、徐々に語気が荒くなっていく。
気づけば、ハンドルを握るジムの喉にナイフを突きつけ「俺を止めてみろ」と脅しだすのだった......

1人のイカれた男が1人の男を執拗にどこまでも追いかける構図はもはや一種の強烈なラブストーリーでは??
警察だろうが、女性や子供だろうがお構い無し、目についた人間は片っ端から惨殺していく、容赦の無さすぎるヒッチハイカー型殺人鬼との追いかけっこを描いた作品でかなり楽しめた。
人を騙せるほどの社交性と社会性を持ちながら、容赦無く人間を次々惨殺していく姿は正にサイコキラーそのもので、彼が何者で何処から来たのかが一切明かされないのは、あの当時では「サイコ」同様に英断だったろうし、出自を明かさないことでより振り切れた狂気と絶望を味わえるのが、今作の特徴とも言える気がする。
こんなにも単純明快なストーリー且つ娯楽性の高いスリラーなのにどうしてかずっと今作の殺人鬼・ジョンの正体についてずっと考えてしまう。それこそ本当に彼は人間なのか?実は主人公・ジムの妄想なのでは...?等様々思案してしまった。

突如となく襲い掛かる理不尽な恐怖、自分の人生を引き裂こうと1人の殺人鬼が次々と屍の山を築きながら襲いかかってくる。
明らかに人間を超越した""何か""であることは間違いなく、ただその""何か""とひたすらに向き合う約100分はとてもスリリングでテーマパーク的な娯楽感を味わわせてくれると同時に「エイリアン」のような出自不明の気味悪さを醸し出しているのが本当に凄いと衝撃を受けた作品。
今じゃ全く見かけない気のするロードスリラー、きっと懐かしい思いも湧き出てくるはず。
是非一度鑑賞してみては!