ナガエ

イルミナティ 世界を操る闇の秘密結社のナガエのレビュー・感想・評価

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陰謀論的なものには、まったく興味はない。トランプ大統領支持者たちが「Qアノン」とか言ってるのも、知性のある大人がマジでそんなことを本気で主張してるんだろうか?と思っている。

陰謀論が人気を博す理由は分かる。「悪魔の証明」のようなもので、「陰謀は存在しないこと」を証明することは困難だからだ。同じように、幽霊が存在しないこと、占いが当たらないことなどを証明することは、ほぼ不可能だと言っていい。

世の中には、「反証できないんだから、これは正しい」という理屈で物事を信じている人もいる。陰謀論など、まさにそうだろう。そもそも反証が不可能であるという事実には目をつぶり(あるいは、本当に知識として知らないのかもしれないけど)、「反証できないんだろ?じゃあ間違ってるとは言えないじゃねぇか」みたいな理屈で正しさを強要してくる。まあこんな主張は、全部無視していいと思っている。

さて、そんな僕がこの映画を見た理由は、明確には特に存在しないけど、「イルミナティという秘密結社が存在するとして、恐らく世界を陰から操ってる的な存在ではないだろう。じゃあ何なんだろう?」という興味があったのだと思う。

さて、そういう意味で言えば、僕が望んでいた通りの映画だった、と言っていいだろう。イルミナティという秘密結社が、誰の発案で、どういう社会情勢の中で生まれ、その中で何が行われ、どう変遷していったのかということを、恐らくきちんとした文献等に基づいて(映画は基本的に、イルミナティの専門家と呼ばれる人が喋っているものを繋いで構成されている)再構築していくような映画だ。

しかし、面白いか面白くないかでいえば、面白くなかった。というか、たぶん、全体の2/3ぐらいは、ずっとウトウトしてて、あんまり覚えていない。

冒頭の20分ぐらいは寝ずに見ていたので、その部分は割と覚えている。アダム・ヴァイスハウプトという人物が、どういう経緯でイルミナティという秘密結社を立ち上げたのか、という話だ。5歳までに両親が亡くなったことで、ファン・インクシュタットという男爵が親代わりになった。彼はイエズス会の大学で検閲官を務めていたため、発禁本も読むことができた。そういう環境だったこともあり、ヴァイスハウプトも様々な本を読み、かなり若くして大学教授に就任する。さらに、彼の大学教授就任とほぼ同時期に、イエズス会が解散した。当時イエズス会は、大学など多方面に影響を持っており、以前はイエズス会の人間でなければ教会法を教えることは出来なかった。しかしイエズス会の解散に伴い、ヴァイスハウプトが非イエズス会の人間として初めて教会法を教える人物となる。彼は、その博識と革命的な思想を元に学生たちと議論を重ね、人類をより良い方向に導くために「完全可能者」という組織を立ち上げ、後に「イルミナティ」と改名したという。

「人類をより良い方向に導くために」というと、なんかヤバそうだけど、これは当時の状況も関係している。当時は「啓蒙主義」と呼ばれるものが主流だった。それまでは教会の力が大きすぎて、人々は、「自分の考え」も「自分の土地」も持つことなく生活をしていた。しかし、そういう教会の教えや権力ではなく、理性とか知識とかで進んでいこう、というような考え方が啓蒙主義らしい(よく知らないけど)。確かに昔は、教会が本を発禁にしたりして、自由にアクセスできる知識も制限されていただろうし、そもそも字を読める人も多くなかっただろうから、知識にアクセスし理解し人々に伝えられる人間が、多くの人を「啓蒙」し、より良い人間へと導き、社会全体を良くしよう、という考えが生まれるのはまあそんなに不自然じゃないかなぁ、という気もする。

で、イルミナティというのも、そういう流れの中にあるよ、というのが大枠。

あとはうつらうつらしてて断片的にしか覚えてないけど、面白いなと思ったのが、イルミナティの階級について。低い方から「ミネルヴァ」「フリーメイソン」「ミステリ」と3つあり、さらにこの3つの内部で計12の分類があるらしいんだけど、この中に「フリーメイソン」があるのが謎だな、と。フリーメイソンと言えば、同じく陰謀論でよく登場するものですけど、こちらもまた実際に存在した(今でもするのかな?)秘密結社です。で、この映画によると、元々はフリーメイソンが先にあって、イルミナティの創設者のヴァイスハウプトもフリーメイソンに入ってた時期があるらしいです。でもそれは、フリーメイソンに入りたかったっていうよりは、フリーメイソンにいる人間をイルミナティに引っ張ってくるための仮入部みたいなイメージだったようです。

イルミナティの中に「フリーメイソン」って階級が存在するのは、「フリーメイソンに入ってる人間を引っ張ってくればちゃちゃっと組織をおっきくできるんじゃね?だったら、フリーメイソンにいた人は、入会時点で「ミネルヴァ」より高い地位を与えてあげよう」みたいなことらしいです。

そんなわけで、割と寝ちゃったんであんまり内容が分かんないですけど、面白い映画ではなかったですね。
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