オールド

プルーフ・オブ・ライフのオールドのレビュー・感想・評価

プルーフ・オブ・ライフ(2000年製作の映画)
3.5
K&R保険(kidnapは誘拐、ransomは身代金)を題材にした少々マニアックな映画。

K&R保険とは、危険地域で活動する富裕層、多国籍企業、NGOなどが身代金誘拐に備えて加入する特殊な保険で、事件発生時は保険会社が身代金を払ったり、元特殊部隊員などの専門家が代理交渉にあたってくれる。
この保険の目的は「穏便な交渉でトラブルを避け、最良の条件で人質解放にこぎつける」こと。あくまでもどこまでも交渉であり、元特殊部隊の経験を活かして救出作戦❗などはあり得ない…‥のだが、まぁ、本作でどうなっているかは乞うご期待。

斜に構えた上に拡大解釈かもしれないが、誘拐する側の共産ゲリラと人質を助ける側の保険会社が同じ穴の狢に思えた。共産ゲリラは冷戦終結で大国からの軍事援助を失い、"共産"の看板は掲げつつも、実際は麻薬流通や身代金誘拐で生計を立てている。一方の保険会社は「保険は相互扶助の精神に則っている」と謳いながら、保険料(ベネフィット)と身代金支払額(コスト)のバランスを計算し、保険料の引き上げを常に画策している。両者はまったくもって鏡像関係にある。
公開は2001年3月。グローバリゼーション真っ只中。冷戦に勝利して地球の隅々にまで浸透深化した資本制は、かつて敵対した共産勢力も取り込み、極限状況さえもマーケットに組み込んでいく。そんな時代状況を、ハリウッド的エンタメアクション&メグ・ライアン的ラブコメの向こう側にかすかに感じ取った。
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