YukiSano

ボクたちはみんな大人になれなかったのYukiSanoのレビュー・感想・評価

3.6
かなり世代が近いこともあり、心に穴を空けられた。

オザケンとかそんなに聞いてなかったけど、それでもあの時代は耳にしてない人間はいないくらいに象徴的存在。それが流れると自分の青春もえぐられる。

あるある会話と懐かしいアイテムの連続で、揺さぶられる。「花束みたいな恋をした」のアラフォーアラフィフバージョン。

最近考えてたことを描くので、かなり前半は心に喰らったのだが、最後まで観ると主人公と共にスッキリした感情になった。良くも悪くも何かも残らない同窓会の徹夜空けカラオケみたいな気分に浸った。

森山未來の二十代から四十代演技が凄すぎて感動した。CG使ってなければおかしいレベル。伊藤沙莉はリアリティーありすぎて泣けた。あんな子いたわ。SAYURIは演技が上手くなっててびっくり。リバースエッジといいオザケンが流れる映画と相性が良い。東出くんもチャラ男が似合う。不倫キャラを活かしてたと思う。

日本映画の特徴として、感傷に流されてしまい物語の本質的なメッセージが分かりにくくなっているが、これはコロナ禍で行き場を失った日本人に対するエールと自戒を促してると解釈した。

森山は疲弊した日本社会の代表としてコロナ禍の中で生きる人々の代弁者なのだろう。それならば最後に彼が何を選択するのか見せて欲しがった気もするが、結局選ぶのは私自身であるというメッセージとも取れる。

それって普通じゃん、と思いながら自分も元カノとか思い出しながら寝ることにする。
YukiSano

YukiSano