Liaozhaipi

ボクたちはみんな大人になれなかったのLiaozhaipiのネタバレレビュー・内容・結末

1.0

このレビューはネタバレを含みます

彼女は自分の思想で他者を支配する典型的なモラハラ人間なようだし、その思想も陳腐なフリーター精神に過ぎなくて痛々しい(しかも、それが90年代商業広告で形成されたものであるという皮肉。ブンガク的な)。
しかし、誇りをもって普通にまじめにコツコツと生きてりゃ良かったのに、支配されていることに気付かない主人公もイライラする。
そりゃ誰かの一言で人生変わることあるけど、それを選択した責任はしっかり自分で引き受けないといけないじゃん。
それが大人になることだと私は思うけど。
過去を思い出してエモくなってワーッて走り、最終的に大人になろうよ!って映画は言いたいのかもしれないし、それはそれでいいんだけど、その大人の意味が私の見解と違っていて腹立つ。
具体的にいうと、主人公はたしかに過去を思い出しているけど、どれも何となくそうなっていってしまった感じでまとめられてて、思い出している視点に前向きな要素が一つも見られない。
それに、決して「ああしてれば!」とか「あそこはこういう選択をすべきだった!」とかいう後悔ではないし、ましてやそれが自分の問題であるという最大の当事者意識すら、見られない。
ただの思い出し懐かしみ=エモいだけで終わってるですわ(世代を感じさせるものを切り取って貼り付ける演出もそうだし、そういえばセリフのどっかで聞いた感も強過ぎて人そのものに入っていけない)。
ここに、彼の最も向き合わなきゃいけないポイントがあるのに、全くそういう前途が見えなかった。
これは、目の前の問題を一つ一つ自分の問題として向き合う大人ではないし、彼はそうなる兆しが(描かれてい)ない。
そういった矛盾が露呈していると見た私の評価になっています。

ただ、影を帯びたSUMIREさんと東出さんの存在感はとても良かった。もちろん、年齢の幅広い森山さんには毎度の如く舌を巻くけど、総じて役者のポテンシャルに頼り切った演出という印象もある。
なんか、花束みたいな恋をしたみたいな感じ。
Liaozhaipi

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