凪

ボクたちはみんな大人になれなかったの凪のネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

「花束みたいな恋をした」
「ちょっと思い出しただけ」
の大人版みたいでめちゃくちゃ好きだった

渋谷の雑踏の中に存在するキラキラの小さな宇宙は2人だけの時間が止まったモラトリアムを象徴している

ホテルの装飾といい、スーの仕事部屋のインテリアといい、不自然なほどキラキラ
そこは人が現実逃避を求めてやってくる場所
部屋を出たらまた、現実に戻る
ファンタジー代表のディズニーとラブホが並列で語られるのは面白かった
現実と理想の対比が痛いほど突き刺さる 

90年代は性行為で現実逃避ができたけれど時が経つにつれメンエスのオーナーが逮捕されたり、マコトがワンナイトしている途中に現実に引き戻されたり
この場面で印象的な東京タワーや結婚はまさに表面上はキラキラだが実際はシビアなもの
性行為だけでは逃げきれない現実が重くのしかかる

結果「大人」という生き物こそがファンタジーな架空の存在なのではないか?
みんな理想の大人像になろうと頑張るけど、本当の大人は1人も実在しない

伊藤沙莉は本当に天才
演技が自然すぎて本人かと思うくらい
最高でした

森山未來は20歳近く離れた役を演じこなしていて、時間どうなってんだよと思った
幼く見せたりおじさんに見せたり、雰囲気をも変えるカメレオン俳優
実力でしかなくてすごすぎる

久しぶりの映画、面白かった
凪