ぜにげば

僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ワールド ヒーローズ ミッションのぜにげばのネタバレレビュー・内容・結末

1.0

このレビューはネタバレを含みます

分からないけど、とりあえず悲しい。

僕はヒーロー“デク”が大好きだったんですけど、今作でそうじゃなくなってしまったかもしれません。

気持ちの整理がつきません。

思う所は後半に。



まず評価したいのが、ヒロアカの劇場版は全て「ストロングワールド」のように本編に差し込んでも齟齬がないように作られていること。

個人的にヒロアカの好きな部分は「理屈っぽさ」にあって、今回もそれが多数見られた。
まずヒューマライズのやりたい事が単純明快で、こういう敵組織の思想はチープになりがちだけど、無個性に生まれたり個性に不幸にされたりしたら確かにそういう行動に走りたくなるのは分かるので、納得感がある。

警察に内通者がいるのも、ヒーローが台頭してる社会での警察の立場をとかを考えるとすごく納得出来る。

それと、ヒーローは狙われていても助け続けるから、それをわかった上でのヒーローを狙う作戦ってのも最高。
「それをされるとどうしようもないよ…」って作戦程良いからね。

「「説得力」」

これに尽きる。
この理屈っぽさヒロアカだァ!となった。

細かい個人的に好きなシーン
・弓矢のヴィランの能力が好き。ポックルだね。
・デクが完全にスパイダーマンだった。
・ゴムゴムのキャノンみたいな技をデクが使った。
・パルクールカッコよすぎる
・サラーム(エジプトのヒーロー)好き




今作の問題点について
・ロディの犯罪が軽視されている
ロディは一応悪いことしてるじゃん?それなのに罪を償うことも謝罪もないし、補完するセリフも足りない。
「オセオンの警察に内通者がいてごたついてて逮捕とか今は出来ないから、オールマイトが掛け合って功績も踏まえて帳消しにする」みたいな描写を期待した。
サマーウォーズのおばあちゃん程胸糞とかではないし、生きる為にやってた事ではあるし、オセオンは日本じゃないから日本の価値観で測るのもダメだけど、にしてもあと一歩詰めが甘いかなと思った。


・携帯について
携帯のバッテリー抜いたのに、縦読みの暗号を送るデク。
いや、せめてセリフか何かで補完してくれ。

・キャラの掘り下げについて
かっちゃんと轟の対戦相手の名前すら分からないってどういう事。
スカーレット隊長はキャラ的に例外としても、Dr.インディゴ、ビンズとアイン、バカラとダイス、全員名前言える。

誰?何?
全く分からない。作中で描かなきゃダメでしょ。
もしかしたらW巻には描かれているのかもしれないけど、150万名しか知っちゃダメってことなんですかね。

ちゃんとして欲しい。

メルカリで手に入れて確認したけど、ちゃんと書いてあった。
でももう覚えてない。そりゃそうよね。


・100%
使用限度の後2、3度に到達してしまったんじゃないかな。
映画だから100%を使ったみたいな雑な切り方で嫌だった。
そこが唯一成長を描けるところだったのに。

だったらなんで最初から使わないんだって話にもなるし。
ロディも怪我しなかった。

いい加減にして欲しい。

何より、使わずに反射を破れそうだったのにダメ押しで使うのがよく分からない。
前作は2人で100%じゃないと勝てないから使うのもわかるし、勿体ぶった理由もちゃんとあったのに。

どうした? ?


・デクの諦めるなというセリフ
※ここが一番重要※

フレクトターンが個性を恨む理由が説得力をもって説明されてるからこそ、「諦めるのは仕方なく無い?」と思ってしまった。
好きな人と抱き合う事も出来ないってやばいじゃん。
だから悪い事していいって訳では当然無いけど、「諦めなかったら何とかなってたかもしれないのに」は、結果論でしょ?
たまたまデクと闘って気づけただけじゃん。
個人的には、手の届かなかった守るべき人の一例として捉えて、「あなたの反射を覆して、僕があなたを救います」とか言って欲しかった。
結果としてデクが反射を破った事で彼に光は指しただろうし、止めたことと二つの意味で、救いはした。
諦めるなってセリフも、デクなら言っていいのかもしれない。
でも逆に、無個性だったのにヒーローになれちゃった人に、「諦めなかったら」なんて言われたら、俺がフレクトだったら自殺するかな。
言う資格がある数少ない人間の1人であり、言ってはいけない沢山の人間の1人だと思う。

「いつだよ。諦めなかったとして、いつ俺は救われるんだ?」
そう思っちゃう。
フレクトがデクのこれまでを知らないのが唯一の救いなのかもしれない。

もう一度言うけど、僕はフレクトをヴィランではなく救うべき人に捉え直して欲しかった。
「人類の救済を」と言っている彼は、何よりも自分が救われたかったはず。
賛同者がいることに救われてたはず。
でもそれを一蹴された。

僕が好きだったデクは、ヒーローの温もりとか優しさがあったんだけどなぁ。
やるべき事は変わらないけど、「うるせえ!お前が悪い!」みたいな、一蹴されるような感覚。凄く悲しい。
デクが冷たかった。

堀越先生に届いたらいいんだけどなこの気持ち。

少なくとも言えるのは、スパイダーマンはあんなこと言わない。
グリーンゴブリンを救いたかったようにスパイダーマンなら絶対フレクトを救おうとしたと思う。

今まで自分の中でヒロアカで描かれるヒーローは完璧だったから、このタイミングで急にデクがこんな事になってて、凄く悲しい。
今まで一応劇場版も正史と捉えていたけど、今作に関しては絶対に正史と捉えたくない。

ヒロアカの映画は詰めが甘い印象だったけど、それがとうとう本筋に悪影響を及ぼしてしまった気がする。

デクってこんな人だったの????

今作はヒロアカじゃないって結論にさせてもらってもいいならそうさせてください。


勝手ですけど1.0です。
ごめんなさい。
勝手でごめんなさい。


2021/09/17追記
2人の英雄のおまけR巻を読んだけど、堀越先生自身がロングインタビューで「デクも心の奥底では諦めかけていた」って言ってるし、O巻では尾田さんに「キリなくなるから関わりすぎんな」的な事言われてるから、多分今作はあまり堀越先生は関わってないんだろうな。
まあ、堀越先生を疑ってた訳では一切無いし、寧ろ有り得ないとすら思ってたから、そう思える判断材料が増えて嬉しい。

堀越先生があんな事言わせる訳無いもんな。
二重人格とかならまだしも。

2021/09/18追記
ヒロアカは登場人物の「再起の物語」とも書いてて、今作で主人公デクはフレクトの再起の機会を危うく潰す所だった。
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