セガール幹事長代理

ホムンクルスのセガール幹事長代理のレビュー・感想・評価

ホムンクルス(2021年製作の映画)
2.0
他人の深層心理を視覚的にとらえることが出来る手術を受けた綾野の、なんとなくふわっとした話。

体液フェチとしては自傷癖のある女の血液をガブ飲みするくだりは結構好きだったんだけど、記憶喪失の元カノが登場してから繰り広げられる、世界一どうしよもないラブストーリーになったあたりからあくびが止まらなくなった。

前述の通り全体的にふわっとしてるので、ふわっとした女子供向けの映画に仕上がっており、話運びや演技に対してああだこうだ言うのも違う気がするんだけど、綾野剛の、というよりもイケてる若い男がホームレス演じるって大変なんだなと思った。
上野の不忍池あたりを歩いたことがある人ならわかると思うけど、あの辺一帯のホームレスの溜まり場って、夏場になると酒とヤニと加齢臭とドブが織りなす香りのハーモニーを奏でてて、よく考えると私の枕のスメルとまったく同じで絶望するんだけど、綾野からはあの感じが全然伝わってこないんですよね。
なんなら1週間風呂に入ってない綾野よりさっきシャワー浴びた自分の方が臭いんじゃないかっていうね。
とりあえずTシャツぐらいは毎日替えといたほうがいいと思いました。

あと私、若い頃に対物性愛者向けの集団セラピーに面白半分で参加したことがあって、「自分は土に穴をほって地球に童貞を捧げました」「トラバーを見ると濡れてしまい工事現場から拝借してたら気付いたら前科3犯です」とか円になって座ってる面々がそれぞれの性事情を語り合ってたんだけど、私の番が回ってきたときに「今朝ポスカをオカズにマスターベーションした」って渾身の作り話を告白したら「わかります。マットな感じがいいですよね」「インクが尿道に染みるけど、あの一体感嫌いじゃない」「違うマーカーと添い寝すると嫉妬するんですよね」って知らんおっさんに共感されてひっくり返りそうになった。
あいつらは無機物が持つはずのない深層心理をとらえてるので、ある意味綾野を超えてるんじゃないかと思った。
あと「風俗でハーフの子指名したらうちに来たのがニューハーフで、それから人間不信になった」っていう男だけの飲みの席で百パー笑いをとれる鉄板ネタを披露したら「大変だったわね」とか「私達がついてるわ」とか言われながら瞳を濡らしたババアからの熱い抱擁を受けて、俺はとんでもないとこに来ちゃったなと思った。

まあでも、なんやかんやこいつら人生楽しそうだなと、雑な感じで終わりました。かしこ。