原作のラストが大好きだったから二時間尺で間に合うか〜？とずっと放置していたけど、期待値を削いでいたぶん良かった。オチや伊藤の置きかたは原作と比べてしまうとどうしても安直だが、映画サイズのコンパクトさで、わかりやす〜く綺麗にまとめた印象。ホムンクルスの画づくりは予想以上に良かった。
ただ、その手のコンパクトなラストにするならJKのくだりは非常に野暮で無粋で無意味。この深度のオチに持っていくならエピソードごと別物を練るべきだったと思う。原作知らない人が見たら混乱するんじゃないかな。簡潔にまとめると、原作は哲学や思想へ究めていく内容だが、映画ではちょっとゴアで不安定な人々の見世物小屋。だから没入する余地も無いので、倫理的に逸脱した表現の上澄みだけ広げても共感もしないし、必要な露悪さではなく醜悪なだけ。バランス！
山本英夫作品のカルト的人気の所以は、話が進むほどネジが抜けていく頭抜けた内省・ダニングクルーガーの啓蒙の坂状態に至るカオスさに触れる気持ち良さだと思うから、欲を言えばネトフリは原作オチに準拠してドラマサイズで展開してくれたら…とは思わずにいられないけど、正直そうなると国内の監督が思いつかない。う〜んごめんなさいやっぱり韓国版で観てみたい。ホムンクルス自体がホラーか？問題はあるけど、こんなに脚本全員ホラー畑の監督が噛むのであれば、私はヨン・サンホで観たかったなと思ってしまう。つまるところやっぱり山本英夫が大好きなので、御大の新作首を長くして待ちます。
