オトマイム

尼僧ヨアンナのオトマイムのレビュー・感想・評価

尼僧ヨアンナ(1961年製作の映画)
3.6
所詮人間の性欲は断ち切れないもので、聖職者にそれを禁じているカトリックは論理的に成り立たないものなのか。

本作は、カトリックの不合理に大胆にメスを入れている、ように思える。
敬虔なカトリック信者が大多数を占める当時のポーランドでこのような作品が撮られたことに驚いたが、カヴァレロヴィチ監督は無神論者だったとのことで、納得した。

悪魔祓いに難儀するスリン神父がユダヤ教の司祭に相談に行き、「キリスト教が根本的に間違っている」と言われるシーンなどは、まさに監督の本音なのかも知れない。

(私は無宗教だけどキリスト教やカトリックを批判しているわけでは全くありません、念のため)

かなり地味な作品ではあるが映像はさすがに素晴らしく、モノクロームの映像に全身白の修道着がとても印象的。調べたらカメラは『灰とダイヤモンド』を撮った人だった。
美しい構図ばかりで成り立っている。例えば洗濯物干場でギシギシと音をたてる竿とずらりと干してある修道着。
でもヨアンナがゴロゴロ転がって逃げていくシーンは笑いそうになっちゃった。

正直いうと宗教色一色の話があまり肌に合わなかった。だけどずっと観たかった作品だから、劇場鑑賞できて大満足です^^