私は本作の監督・脚本を務めた松居大悟の主催する劇団、ゴジゲンの作品が大好きだ。『アメリカン家族』を観て以降、大半の作品を劇場で鑑賞している。そんな私が本作を観た感想を以下に述べる。
ゴジゲンは活動休止からの再開以降、「演劇とは何か？」を愚直に追い求めている。それと並行して、松居大悟は映像の仕事も続けている。
本作は舞台版があり、それを映画化したものだ。私は率直に、中途半端な作品になるのではと危惧した。
結論は、”映画”としても楽しむことができた。ただ、良くも悪くも舞台版の忠実な再現。
後半の心臓うんぬんのシーンについて、否定的な意見を見ると残念に思ってしまう。舞台で観た時、頭を殴られたような衝撃を受けたから。やはり、舞台の表現を映像でやるのは難しい。逆も然りだけど。
あとは、クライマックスの赤フンダンスの高揚感も、やはり舞台には敵わなかった。
とまあ、完全に舞台版が私の中では上なんだけど、映像の方が時系列のシャッフルとか場所の移動はスムーズに進むよね......あれ？映画版の良さが全然浮かばないな？
キャスト陣は非常によかったです！特に若葉竜也はもうたまりませんね。最高です。
高良健吾の芝居だけ、悪い意味で浮いている。クサいセリフは、さらっと言ってくれないと。あんなにベッタベタに言われたら、途端に醒めてしまう。
滝藤賢一の使い方がヘタすぎる。完全に邪魔になってた。滝藤賢一がかわいそう。
出演者と内容の被りから、『佐々木、イン、マイマイン』と比べられてしまうのは不幸だと思う。観てほしい一本。
