アキラナウェイ

くれなずめのアキラナウェイのレビュー・感想・評価

くれなずめ(2021年製作の映画)
3.3
「くれなずむ」の命令形がタイトルなんだと知って、興味が湧いたので鑑賞。最近、くれなずんでいないなぁ。

学生時代に一人暮らしの友達のとこで雑魚寝したり。

結婚式の二次会までの時間、「どうする〜?」ってブラついたり。

誰しもの記憶の片隅にありそうな描写が良い。仄かに漂うノスタルジックな匂い。それは良い匂いとも言えず、何かツンと鼻を刺す、寒さというか物寂しさがついて回る匂い。

優柔不断だが心優しい吉尾(成田凌)
劇団を主宰する欽一(高良健吾)
欽一と同じ劇団の明石(若葉竜也)
既婚者となったソース(浜野謙太)
会社員で後輩気質の大成(藤原季節)
唯一地元に残ったネジ(目次立樹)

高校時代の帰宅部仲間6人がアラサーを迎え、久し振りに友人の結婚式で再会する—— 。

以下、ネタバレを含むので行間を空けます。














主人公の吉尾は、実は亡くなっていたという1つの"仕掛け"。これは非常に面白い。

本人に自覚があるのか、
周りはどう認識しているのか。
不思議な空気感を堪能出来た。

何せ内輪ネタで笑い転げる"学生ノリ"の為、彼らの冗談が決して万人にウケる訳ではない。ただ、それを第三者的に眺めている時間は思った以上に心地良…

かったんだけど、終盤に来てちょっとついていけず。

急に安っぽいコントみたいになったの、なんでだ!?どう見てもゴム製の心臓を鷲掴みに出して来たり、「我が名はガルーダ!!」とチープなCGで成田凌くんを吊り上げたり。

んー。途中まで良かっただけに個人的には突然の転調に戸惑うばかり。

今をときめく若手俳優達の活躍ぶりは見ていて楽しいし、意外に前田敦子ってなかなか良いし、一瞬だけの登場だけど、滝藤賢一さんの濃いキャラとかも笑える。

友達が亡くなった時、あんな風に連絡が来るのかな。そんな事を思うとやはり、ツンと鼻を刺す、寒さに似た物悲しい思いに耽ってしまう。冬が来ますね。

暮れろよ。