大道幸之丞

くれなずめの大道幸之丞のネタバレレビュー・内容・結末

くれなずめ(2021年製作の映画)
2.5

このレビューはネタバレを含みます

もしこの次作「ちょっと思い出しただけ」で松居大悟監督に興味を持ち過去作品ととして本作を期待を込めて観たとしたらかなり戸惑うと思う。

本作は「終わった事を引きずる」という同じテーマを持つが、高校同期の仲間で集まり余興をやろうとする6人。しかしその中の皆と一緒にはしゃぐ吉尾は4年前に亡くなっている人物なのだった。

だらだら懐かしみながらストーリーが進んでいく中で吉尾の謎がフューチャーされて行くことで作品が緊張の色を帯びるが、松居大悟監督はまともな映画を撮った事がないのかとおもうほどグダグダだ。

死者がなぜ同期の結婚式にひょっこり現れたのかはいくら映画であっても一定の合理的説明が必要だ。

これは小説界隈と同じ「約束事」であって「作者都合」の「なんでもあり」は作品を壊す。誰がどうやって彼を呼んだのか、彼が勝手に来たのか、ここを雑にすると観ている側に緊張感もなくなるしバカバカしくなり最後まで観る気が起こらなくなる。監督は一定の約束事を鑑賞者に共有する義務があるのだ。

次作「ちょっと思い出しただけ」は恋愛を妥協しつつ「引きずる思い」を抱えた若年にたまたま支持されたが、今後の作品で監督としての真価が問われる事になると思う。

ホロリと来そうなのだがこの複雑な脚本を監督はうまく料理できなかったと思う。残念に感じる作品だ。