【ミヒャエル・ハネケだね】
ジョン・ウォーターズ年間ベスト2020第5位作。ヴァイオリンの先生がアイスホッケーに興味ある息子を見捨てて、天才の指導に明け暮れ家族崩壊する様子を描いた作品。

ジョン・ウォーターズはイナ・ヴァイセに2020年代のミヒャエル・ハネケを感じたらしい。

不協和音の暗喩が平凡。

これが好きなら是非『25年目の弦楽四重奏』に挑戦してほしい。

尚、やけにヒューマントラストシネマ有楽町感あふれる作品だった。

EUフィルムデーズにて。

バイオリン教師の母とバイオリンの才能がある息子。
母の思いが強くなるにつれ関係も徐々に歪む。

母はバイオリニストとして成功するのを夢見ていた。結婚して不自由なく暮らしていたがかつての夢を息子に託したか。息子とは別にバイオリンを教える生徒もいて、母と息子の関係と、コーチと教え子の関係が絡み合い、抑圧されている妻という側面ももつ、ニーナ・ホス演じるアナもメンタルが不安定になってるように思う。

息子や教え子に託す夢が大きいゆえ、アナの行動は徐々に厳しくなれば、そりゃ教え子はプレッシャーを感じるし、息子は母としての愛が欲しくなるし。

ニーナ・ホスの佇まいや音楽は優雅に感じたりもするが、子供がいっぱいいっぱいで限界に近づいていてもそれに気づかず自分の思いを突き通そうとする姿をみると、完全に子供に感情移入してしまう。

だけど、母には母のそれまで抑えられた思いがあったんだとふと我に返る。

母も子もストレスフルだったが、それが解放される感覚を味わえたのはよかった。

• #ミュージシャン+音楽関連映画_みむさん

Can you only accept him, if he is achieving. これはバイオリニスト、アナの伴侶が息子についてアナにいった言葉。これが心に残った。バイオリニストになるために厳格に育て上げられたアナ。伴侶はバイオリンやチェロを作っている技師。息子ジョナスは才能がありそうだが、母親とのコミュニケーションがうまくいかないホッケー好きの小学生？。
アナはアレキサンダーという少年のコーチを引き受け、次のオーディションで成功するようにと特訓を始める。この特訓はいい結果を招かず、家庭が崩壊し始める。特に、息子との関係がより悪くなり、二人の会話はぎこちなくなる。息子はアレキサンダーと比べられるし、犬が欲しいとねだっても、犬がバイオリンの変わりだと言われる。アリの巣を攻撃する息子の豹変に最初気づいたアナの父親。しかし、息子の心に歩み寄る方法を知らないアナ。
アレキサンダーは厳しい特訓を受ける。アナが室内楽The string quartet のコンサートで失敗してから、アレキサンダーの特訓に集中し彼に攻撃的になる。アレキサンダーはその場をさり二度と練習に顔を出さなかった。しかし、オーディションに出てきて、喝采を浴びるが、アナとは顔を合わせたくなく階段を駆け下りていく。そのとき、息子のジョナスが、足をだして、アレキサンダーを転ばせる。彼は首の骨を折って入院する。

息子、ジョナスは自分が足を出したことを知っているものは、自分だけなはず。誰も気が付かないし、彼を疑わないから、彼を責めるものはいないと思う。しかし、彼は自分のしたことを知っている。心にひどい傷を負って生きていかなければならない。いつ彼の行為が許されるのだろう？心にのこる傷は癒せるのだろうか？　また、母親のアナは息子がクラスで弾いているバイオリンの音を聞きながら微笑んでこの映画は終わる。

うすきみの悪い映画だ。影（裏）で何が起きているか本人たちはわからないし、本人たちだけが知っている。自分の心を打ち明けるところが必要。誰にでも必要だと思う。そうすれば、こころの負担が軽くなるから。

• #Berlin’sKussQuartett
• #YehudiMenuhin